朝型になりたい、夜型男、WPD-Red です。おはいお、おはいお。
10月5日はホームページビルダー17 の発売日でした。これまでウェブ制作会社が担当していた WordPress の構築と設計、テーマデザインをわずか 1万円台半ばのツールで行えるとあって、ぼくのタイムラインにはウェブ制作者たちの仕事がなくなる(あるいは減る)のではと危惧する声が少なくありませんでした。
シェフのつくる料理と家庭料理が違うように、プロであるウェブ制作者がつくるものと、プロの作ったものを借りて作るものとでは全然違いますから、そんなことは心配無用だと思います。
…が、昔のようにただウェブサイトであれば良いという時代もまた終わったように感じています。単なる企業紹介としてのウェブサイトに予算が下りることは少なくなっているように感じます。そう、リアルとの連携を求められたり。
今回は、ネットとリアルの連携について思いを巡らせてみましょう。
※ネットとリアルの連携は、最近では O2O = オンライン to オフラインと呼ばれたりもします。経済誌などでちらほらこの言葉を見かけるようになりましたが、非ウェブ系クライアントにこの言葉を投げかけてもまだまだ( ゚Д゚)ハァ?という感じだったりするので、ここではあえて、ネットとリアルの連携、という昔ながらの言葉を使っています。
代理店から”ウェブサイト制作”という形で請け負うことが多い方はそうでもないのかもしれませんが、セールスプロモーションの一手としてウェブサイトの制作をご提案することが多いぼくのような人間にとって、クライアントがウェブサイトに求めるものは随分と変化してきました。
「ホームページを持つ/作る」がブームになっていた一昔前であれば企業・製品紹介に終始するウェブサイトでもクライアントのイエスをもらうことができました。しかし、失われた20年の中でどんどん広告費は削られ、テレビや紙媒体からネットへと広告費がシフトしたものの、ウェブサイトを見るクライアントの目は厳しくなるばかりです。
SaaS で盛り上がる昨今ではウェブに完結したサービスを提供する企業もありますが、まだまだこの日本の多くを占めるのはリアル店舗型のサービスを提供するクライアント。ぼくはずっと、どうしたらネットからリアル店舗へとお客様を誘引できるかを考えています。
ネット⇔リアル連携において、これまでにどういった事例があったのか、振り返ってみましょう。
飲食店の事例
まずはじめに論じるのが、ウェブクーポンやウェブ会員証になります。店頭で購入する製品が割引されるというインセンティブを提供し、ウェブを見たお客様に自分は優遇されていると思ってもらい、店舗に誘引するわけです。
この手法はとても小さなお店から誰でも知ってる会社まで、実に様々な形で行われています。代表的なのがマクドナルドのウェブクーポン。
公式サイトにアクセスして、レジでクーポンを表示すれば割引してもらえたり、店頭のメニューには置いていない特別なセットが注文できるアレです。リアル店舗への誘引としては抜群に成功しており(どんなにウェブサイトを表示したって、ビッグマックは食べられないのですから)、ネットとリアルの連携の成功例といっていいでしょう。
もっとも、マクドナルドのクーポンのオペレーションもやや形骸化しており、前の人が口にしていたクーポン番号を聞いて、同じ事を言えばウェブサイトを見ずとも注文できてしまう。ま、店舗としてはそれでも儲かるようにできているからいいんでしょう。現場は企画者の想定通りには動かないのであります。はぁ…。
また、単純な値引きといったものは成功していますが、累積購入額や利用回数がいくらになると…といった囲い込みをはかる会員証タイプのものは効果があるのは一部のお客様に限られることが多いようです。せっかく貯めていたのに、いつの間にか無くなってたりしません?
映画やゲームサイトの事例
映画やゲームなどのキャンペーンにも、多くのヒントがあります。
まずは映画のキャンペーンサイト。クライアントは映画の配給会社であり、どんなに映画のキャンペーンサイトの閲覧数が増えたとしても、劇場に足を運んでもらい、映画を見てもらわなくては投下資本の回収はできません。DVD やブルーレイを買おうと思ってもらってもダメです。というわけで、映画のキャンペーンサイトでは映画館への誘導というのが至上命題となってきます。
本当はユニークな映画タイトルのサイトを取り上げられればよかったのですが、ネタとしてストックしておいた映画のサイトが軒並み閉鎖されていたため、「夏は映画だ!キャンペーン」のサイトを取り上げてみます。映画のキャンペーンサイトは独自ドメインを取るわりに、映画の公開が終わりキャンペーンも終わった後にドメインが更新されず、放置されたあげくドメイン・バンディットに奪われているケースが多いように思います。余談ですが。
こちらのサイトでは、全国の映画館、ショッピングセンター、書店、ビデオ店の一部の店舗でポップコーン無料クーポン券付パンフレットをもらって、映画館にいくとポップコーンがもらえちゃう、というキャンペーンを告知しています(全国なのか、一部なのかどっちや、とか、うおおお、文字が画像か…とか今回の本題はそこではありません。)。
映画館以外は若干手順が多い気がしないでもないですが、映画館で映画を見ているとポップコーンが食べたくなるのが正しい映画人です。ポップコーンだけだと喉が渇くので、ドリンクも買っちゃうでしょう。気がつくと、サイトを見ていたお客様は、映画のチケットを買い、ドリンクまで買って、映画を見てくれている、というわけです。劇場への導線としてはバッチリですね。
ゲームの中のデジタルコンテンツを店舗で配布する、というのもうまい導線の貼り方の一つです。
TSUTAYA ではキャンペーン実施店舗の店頭で、ゲーム「BRAVERY DEFAULT」のゲーム内デジタルコンテンツ「ARマーカー」を配布しています。もちろん、TSUTAYA ONLINE でもゲームを購入することはできるのですが、こうして店頭へと誘引することで、ついでに予約/購入していくか、という気持ちにさせるわけですね。
あなたならどうしますか?
上述した事例はいずれも規模も予算も大きなクライアントの事例ではありますが、規模・予算に限らずヒントにできることはあるはずだ、と思っています。
そう、ぼくはずっと、どうしたらネットからリアル店舗へとお客様を誘引できるかを考えています。
提案するクライアントがどのような形で事業を運営しているのか、クライアントがどれだけ真剣に自社の課題を捉え、その解決策としてウェブサイトを求めているかによっても大きく左右されることはもちろんです。だから結論や答えがあるわけではないのですが、ぼくはこれからも考えていくと思います。
単純なのばっかりじゃねーか!ウェブサイト側あんまりやることないじゃねーか!とかいうご意見もあろうかと思いますが(あまり複雑にするとユーザーはついて来られない、がぼくの持論ですが)、ご意見はぜひぜひお寄せください。
あなたならどうしますか?ご意見をお待ちしています。
著者情報
- 戦隊の赤担当。世を忍ぶ仮の姿はサラリーマン。ドラクエと旅行が三度の飯より好き。
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