こんばんは。非デザイナー出身のWP-D Ivoryです。
前回こんな記事を書きました。
この記事について、当ブログ内のコメントや知人から直接挙がった意見で、以下のような意見がチラホラと目につきました。
「デザイナー経験のないディレクターには説得力が無いから困る」
このような意見を出す方の多くは実体験に基づいて意見されてますので、至極もっともだと思います。
僕のような非デザイナー出身、または経験はあってもデザインに疎いディレクターのために負担を強いられたり迷惑を被ったりされたのでしょう。
実は前回の記事を公開する前からこれらの批判(≠非難)は当然出て来るものと考えてまして、ただそれについても書いてしまうと話が冗長になってしまいそうなので突っ込みどころを残したまま公開しました。まとめて書いちゃうとすぐにネタ切れしちゃうからではありませんよ?
ということで、今回は、冒頭で挙げた意見に踏み込んで、改めてWebディレクターについて考えてみたいと思います。
説得力の無さその1:デザインに無頓着
まずはこちらの事例をご覧ください。
クライアント「こうなんていうかナウでヤングなやつにしてください!!」
ディレクター「お任せください!ナウでヤングなやつですね!!」
—–打ち合わせ終了—–
ディレクター「ナウでヤングなやつ頼みます!」
デザイナー 「・・・」
はい。これがディレクターが闇討ちされる可能性が高まる事例のひとつです。
そのまま「今週中にとりあえず1案くださいね^^」とか言った日には暗い夜道を歩きにくくなります。
付き合いが長かったり余程の猛者達でない限りは、限りなくギャンブルに近いお仕事になりますね。
デザイナーの仕事ってなんとなくではできない
デザインをしない人間にとって、デザインは才能のある人が「なんとなくイケてる絵を描く」ことだと思いがちです。
しかし実際はデザイナーは、根拠に基づいて計算高く、綿密に、デザインをしてたりしますよね。
- そのサイトの中で最も大事なコンテンツは?
- ターゲット層は?
- メインとなるデバイスは?
- クライアントの好みは?
- 競合相手は?
- etc…etc…
デザインするために、こんな感じの多くの情報をインプットする必要があったりします。
なので、先ほどの打ち合わせ終了後のやり取りは、
ディレクター「一番のウリは○○で、30〜50代の女性をターゲットとして、モバイル全般、スマホだけでなく携帯電話でも視野に入れてデザインをしてほしい」
デザイナー 「ほう?」
ディレクター「クライアント自身の好みとしては、ピンク系、スッキリ、淡いコントラスト、丸めのデザインを好み、例えばココのサイトやアソコのサイトのようなデザインが好みのようで。」
デザイナー 「ほうほう?」
ディレクター「競合相手として、A社やB社があって、これらとは差別化を図りたい」
デザイナー 「ちょっと考えてみましょう」
こんな感じの話をデザイナーに伝えられたら、ナウでヤングな仕事の捗り方が変わってきます。
今度は「ラフで構わないので、クライアントの反応を確認して方向性を確定したいから今週中になんとかデザインイメージをアップしてほしい」とか言ってみても良さげな雰囲気になるかもしれません。
ということで、デザインという工程と、それに必要な諸々の話を、ディレクターは準備する必要があります。なんとなくで仕上がる工程ではないため、デザインに無頓着ではいけませんね。
説得力の無さその2:デザインの話を詰めれない
ここまで読んで「その1はそもそも論外だろ?無頓着ってバカなの?死ぬの?」って思われた方、どうかお怒りを沈めて先に進んでください。
その1の最後のようなデザイナーとのやり取りをするためには、ディレクターの空想ではなくてクライアントにヒアリングをして、重要な情報を引き出す必要がありますよね。
しかし無頓着でなければクライアントから大事な情報を引き出せるかというと、そうでもないわけです。
デザインに無頓着で欠片も関わってこなかった人間が、変わるキッカケがあったところでいきなり上手いこと話を進められるわけではありませんね。
無頓着を脱したあとにはこんな事例が待ってるかもしれません。
クライアント「この企画だとどんなデザインがいいの?」
ディレクター「デザイン重要ですよね!デザイナーに相談してみますね!!」
—–打ち合わせ終了—–
ディレクター「この企画だとどんなデザインがいいの?」
デザイナー 「・・・」
はい。きましたね。ディレクターが闇討ちされそうな事例その2です。
この場合ディレクターの存在意義が伝書鳩レベルに落ちつつ、伝書鳩になってる時間が無駄に過ぎていきます。
ギャンブルでは無くなりましたが、プロジェクトの進みが恐ろしく遅れることに・・・
最終的なデザインを出すのはデザイナーですが、
クライアントの理想や方向性を探って引き出すことはディレクターの仕事になります。
クライアントとディレクター間でこの手の話題を少しも進めることができずに
デザインの話題が出たら毎回デザイナーに確認を取っていると、
そのうちクライアントに
「デザイナーさん連れて来てください」
とか言われかねません。
この辺りが、
デザイナー経験のないディレクターには説得力が無いから困る
と言われてしまう理由のひとつでしょう。
「説得力の無さその1」では無頓着を脱することで前に進めました。
ではこの「説得力の無さその2」は、果たして乗り越えられるのでしょうか。
自分の外に既にある説得力を使う
まともなデザインには数多くの根拠が存在します。
例えば色味。
「情熱、愛、パワー」を連想させたいなら「赤」、
「安全、健康、調和」を連想させたいなら「緑」。
例えばレイアウト。
ディスプレイにあわせた比率「16:9」や「4:3」、
数式で表現される美しい比率「黄金比」や「白銀比」。
ヒアリングの要素に挙げた、ターゲット層やデバイスに基づく、
このような「その場合に良いとされる一般的な答え」は、絵が描けなくても理論として学んでおくことで、クライアントに根拠ある提案ができますね。
もちろん、理論だけじゃ応えられないケースもあります。
クライアントとのイメージの擦り合わせにおいて、
具体的なイメージが湧かないと話が進まないことが当然あります。
そんな時は人の褌を借ります既に世に出ている多くのWebサイトを好例として使います。
あらかじめ自分が良いと思うwebサイトを集めておいて、
それまでにクライアントから得た情報に基づいて
「イメージしているサイトはこんな感じですか?」
と摺り合わせていけば良いのです。
クライアント「この企画だとどんなデザインがいいの?」
ディレクター「このターゲット層ならこの色、この形が好まれていて、業界的なイメージでは穏やかで柔らかくナチュラルな雰囲気が一般的にユーザーのイメージとマッチしやすいです」
クライアント「それは具体的にはどんなデザインなの?ちょっと言葉だけじゃわかりません・・・」
ディレクター「そうですね。このサイトとか後あのサイトとか、こんなサイトとかどうでしょう?」
クライアント「あぁ、そうです。こんなサイトがいいなーって思ってました。」
ディレクター「それではこの方向性で、デザインを進めてみますね」
どうでしょうか。
ディレクターとして伝書鳩を超えた気がします。
まぁ、先ほどから取り上げている事例はあくまで僕の経験と想像から伝え易い様に都合良いものを取り上げていますので、実際なんでもかんでも上手くいくわけじゃありません。
例えばクライアントに「イメージを絵にしてみてほしいので、その場でちょっとデザイン描いてみてもらえませんか」とか言われちゃうと、話を逸らしてしまいそうです。
とはいえそこは、デザイナーだったらその場でいきなりデザイン出来てしまうのかというと、なかなかそうはいかないですよね。
ていうかそれが出来ちゃうデザイナーさんは、連絡ください。僕と一緒に仕事しませんか?(ぉ
結論と次回予告
長くなりましたが今回のお話は、
「デザイナーである必要は無いけどデザインに対しての意識は高くもつ必要があります。例えばこんなときにね?」
という話でした。
パッと考えられる範囲で好きに語っていますのでツッコみどころが山ほどあることでしょう。
もしこの記事を読んで
「おいこのディレクター分かってない!○○なときはどうすんだ!!」
とか
「○○なディレクターがいて凄い困ったんだけど!?」
とか言いたい同業者さんやクライアントさんがいましたら、是非コメントにてツッコんでください。
ネタとして次の記事に使いたいですそこから僕も学べたらありがたいです。
さて、これにて一旦今回の記事を終えますが、次回はこの話の更にその先について取り上げる予定です。
題して、
「デザイナーだったらWebディレクターになれますか?(仮)」
2話に分かれたと思ったら3部作になってしまいましたが、これが最後になるはずですので、ここまで読んでくれた方は是非次も読んでみてください。
著者情報
- 無駄にデカい体格とは反比例のサイズの肝っ玉で日々息も絶え絶えにディレクションをする小心者です。
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