WordPress vs concrete5 その1

2013.10.24 | 考える。
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WP-D読者のみなさんはじめまして!初登場のhissyです。コンクリートファイブジャパンという会社のCEOをしています。
今日はオープンソースCMS「concrete5コンクリートファイブ)」とWordPressとの比較記事を寄稿させていただくことになりました。

concrete5_Wordmark_400x75

WP-D読者の方はWordPressユーザーの方が多いと思います。殴り込みか!?と思われるかもしれませんが、実はWordPressコミュニティでも色んな活動をしています。WordCamp KOBE 2011の実行委員をしたり、WordPress.org日本語フォーラムの世話役をしていたりします。その関係でWordFes NagoyaWordCamp Tokyo 2013でお話しさせていただいたりもしています。最近はReally Simple CSV ImporterというWordPressプラグインもリリースしました。

WordPressはバージョン2.6の頃に出会い5年くらい仕事でのキャリアがあります。今でもWordPressのカスタマイズの相談を受けることもあるのですが、制作の仕事の中心は完全にconcrete5に移行しました。concrete5も3年以上取り組んでいますので、どちらも知り尽くした立場から2つのソフトウェアを比較してみたいと思います。

gesturing toward info on the Concrete5 poster

おおざっぱに

細かい比較をするまえに、ざっくりと言えばWordPressはブログから進化した「パブリッシングに特化したCMS」、concrete5はWebサイトをかんたんに運用することを目指した「汎用・高機能CMS」と言えると思います。

WordPressは型にハマれば非常に強い。投稿、固定ページ、カスタムフィールド。このブログ型CMSの3大要素を突き詰めたWordPressは、シンプルかつカスタマイズが容易な設計であることも手伝って使いやすいです。
ただ、WordPressは「記事を投稿する」というところに特化する一方、それ以外のCMSとしての機能が弱く、なかなか改善されない。結局プラグインやカスタマイズで対応するのですが、コストがかかってしまいます。

concrete5はCMSとして必要で、かつ地味な機能が一通り揃っているのがポイントです。必要だと言われるけど、そこに予算は出にくいなという機能がきちんと用意されていることで、仕事はすごくスムーズになりました。

編集のしやすさ

WordPressはインストール直後の状態では、ちょっと編集しやすいとは言えません。ビジュアルエディタがぽんと置いてあるだけです。もちろん、ブログを書く分にはビジュアルエディタで充分ですし、あれこれごちゃごちゃとボタンがついていない方がいいですね。ただし、企業サイトを運用しようと思うと、やはり文章が書けて、画像を左右に寄せられるだけでは足りません。

そこで、カスタムフィールドの出番になります。ビジュアルエディタだけでは入力しきれない情報をカスタムフィールドに入力させ、それを整形してページに表示する。このことで、テーマのカスタマイズは必須になりますが、かんたんに複雑な情報を管理画面からHTMLタグを入力させることなく更新させることが可能になります。

ただし、WordPressのカスタムフィールドは…お世辞にも使いやすいインターフェースとは言えない。そこで、Advanced Custom Fieldsなどカスタムフィールドを使いやすくするプラグインを使ったり、functions.phpにPHPファイルをたくさん書いたりして、入力画面を使いやすくする工程がほぼ必ず発生しているのではないかと思います。

…でも、そこまでする必要ある?って思うんですよね。

その作業分の費用をいただけるのならまだ良いです。運用開始後に投稿画面をちょっと変えたくなったらどうすれば良いのか。制作会社に依頼して、お金を払うべきだ、と思うかもしれません。たしかに、投稿画面を手間ひまかけてカスタマイズしている場合は、PHPをよく知らない人には容易に変更できないほど(ひょっとしたら、WordPressのバージョンアップもできなくなるほど?)投稿画面がカスタマイズされているため、PHPもよく分かってないシロウトには触れてほしくないかもしれません。でも、それが正しいことなのか。

concrete5で強調されるのはDIYの精神です。ウェブサイトのオーナーは、まさしくそのサイトの持ち主であり、デザイナーではありません。オーナーが自分で自分のウェブサイトを思い通りにできるCMSを目指しています。なので、ウェブサイトの管理を他人任せにしたい方にはconcrete5はおすすめできません 😉

ウェブサイトは家のようなものだ、とconcrete5のCEOフランツは語ります。きれいなショールームは訪れる分には楽しいですが、住むとなるとその時々の家族の事情や気分によって、レイアウトを変え、家具を追加し、壁紙を新調したくなるものです。

concrete5では、編集モードであらゆるパーツをマウス操作で配置し、マウス操作で並び替えることができます。編集エリアにレイアウトを追加し、あとから変更することができます。あらゆる操作をマウスで行なうことができます。

もちろん標準機能ですので、特別なカスタマイズは必要ありません。したがって制作コストは安くなります。発注者にとってはコスト以上の安心感があります。WordPressの場合、前述のように使いやすくするにはカスタマイズが必要ですので、制作者がそれを行なってくれるかどうかで使い勝手が大きく変わってきてしまいますが、そもそもカスタマイズ不要ならバラツキもありません。バージョンアップの際も安心です。

権限機能

WordPressで企業サイトを制作するとよく問題になるのが権限まわりです。WordPressでは5段階の権限グループがあり、拡張可能な仕様になっていますが、実際結構コードを書くにしてもプラグインを導入するにしてもハードルは高いです。

concrete5には少人数で運用する場合の「簡易権限モード」と複数人数で運用する場合の「上級権限モード」があり、上級権限モードではかなり詳細な権限設定がすべてマウス操作で行なえます。また、これが重要なのですが、ページごとに個別に権限設定が可能です。

permission_window

さらに、編集を即反映させるのではなく、承認/却下の査閲ステップを挟む「ワークフロー」機能も標準で搭載されています。

バージョン管理

WordPressにもリビジョンと呼ばれる編集履歴の管理機能がありますが、タイトルや本文など一部の情報しか含まれません。カスタムフィールドの編集履歴を元に戻すことはできません…。

また、一度ページを公開してしまうと、更新すると即更新内容が反映されます。いったん表には更新前の状態を出しておいて、更新を一時的に保存するということができません。これで困らない人が大半なのが不思議ですが、確かに1人で運用する場合は困りません。困るのは更新担当者と決裁担当者が分かれている場合です。

更新すると即反映なので、更新ボタンを押す前に同じフロアの決裁担当者を連れてきて確認させるか、離れていればプレビューの画面キャプチャを取ってメールし、返信があるまでブラウザを開けて待っている必要があります…。

concrete5ではあらゆる情報がバージョン管理され、いつでも元に戻すことができます。ページ内のコンテンツの変更はもちろん、テーマの変更(ページごとに可能です)履歴や、URLの変更なども全てです。また、公開されたページの内容はそのままで編集した内容を保存していき、OKが出たタイミングでOKが出たバージョンを公開するということができます。

page_version

このスクリーンショットはあるconcrete5のページのバージョン履歴ですが、太字になっているのが一般公開されているバージョンのページです。あるタイミングでページの内容を更新したいため、更新内容を下書きで保存しています。公開する際は選択したベージョンを承認すればOKです。もし公開後に問題があれば、過去のバージョンを承認し直すこともできます。

ファイル管理

アップロードしたファイルの管理もCMSでは重要な機能です。ファイルごとの個別の編集履歴が保存される、ファイルごとのアクセス権限設定ができる、ファイルマネージャーから画像を差し替えたらページ上の画像も差し変わる、などなど…よくある機能だと思いますので、特にconcrete5の特徴としてプッシュしている機能ではありませんが。

セキュリティ

WordPressでは管理画面からテーマやプラグインのPHPを直接編集することができます。また、Zipファイルをアップロードすることでどんなテーマやプラグインでもインストールできます。とても便利です。

concrete5では公式のマーケットプレイスに接続して審査に通ったテーマやアドオンを入手する必要があります。Zipアップロードはできません。管理画面からの編集もできません。不便ですね。でも、この方が安全です。

まとめ

さて、今回は主にWordPressで困っているポイントと、concrete5でそれをどう解決しているかをご紹介しました。では、WordPressはいいところナシなのでしょうか?いいえ、そうは思いません。汎用CMSを使っているからこそ気づいたWordPressの強みもあります。

そして、それは今後WordPressがどう成長していくのかを考えるいい材料にもなると思っているのですが…長くなりましたのでこの続きは次回ということで。次回は動作条件やデザインカスタマイズのしやすさなど、個別要件も比較してみたいと思います。