WordPressで仕事ができるってどのレベルを言うんだい?

2013.04.01 | WordPress | 考える。 | | |
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年度末の忙しさで精神的に追い詰められているWPD-Blueでございます。1ヶ月ぶりです。WP-Dの原稿締め切りは順調にぶっちしたので、おそらくこの記事が掲載されるのは4月、新しい年度に期待で胸膨らます季節です。そんな喜びの季節にこんな記事をアップしちゃっていいんでしょうか。まぁ、気にせず年度末テンションで書き進めますが…。

年度末テンションをまぎらわそうと春めいた写真を持ってきてみた

年度末テンションをまぎらわそうと春めいた写真を持ってきてみた

さて、筆者は普段は主にMovable TypeとかWebReleaseとか、.NETで組まれた独自CMSとか、とにかくその辺のプロプライエタリなCMSからWordPressへのマイグレーション(移行・変換)を含む案件に関わることが多いです。その辺のシステムはたいてい、WordPressより多機能でできることも多い

対してWordPressは、コアはあくまでブログ。フックAPIを介した安全なカスタマイズが可能で、サードパーティ製のプラグインが無償で、かつものすごい数が揃っていること、それが強みです。そのため、一般ブロガーには縁の遠いデベロッパー向けのプラグインも多い。scribuが開発しているプラグインとかね。あるいはfunctions.phpにごにょごにょしてWordPressの仕様を調整したり。そして、プロプライエタリなソフトウェアで実現されていた機能の中から、どうしても残さなければならない機能は再開発したり、プラグインで代替したりして、WordPressに引っ越すお手伝いをする。

そうして、クライアントは、スリムかつエレガントで、世界中の知見が活かされた、ベンダーロックインしない、オープンソースな素晴らしいパブリッシングツールを手に入れられる、めでたしめでたしなわけです。引っ越したあとは運用が必要で、WordPressを安定的に運用するためのインフラ構築とかもチームでは請け負ってますが、そこはあまり自分は関わってません。

とにかく、そうした仕事に関わるには、WordPressやオープンソースへの深い理解と技術力が求められます。自分はチーム内のエンジニアに比べると技術力は全くない方ですが、コストがかかる要件は何か、WordPressでやるならより効率的な手法は何か、そのあたりの経験を元に、他のシステムでの世界とWordPressの世界をマージすることで報酬をいただいています。

でもまあ、そうした仕事をやっているのは恐らく一部であろうかと思います。多くはプログラマーではない、初心者の私にも、管理画面付きのウェブサイトが作れる!タダで!的な使い方が期待されているんじゃないかな。タダ大事。

そんななか、勉強会でも、いま流行りに流行っているWordPressに不覚にも乗り遅れた分を取り戻そう、というかのごとく、今からWordPress勉強するんです!(目がキラキラ!)という方をよく見かける気がいたします。でもあなたたち、何のためにWordPressを勉強するんだい?

勉強会でよく取り上げられるのは、テーマの作り方とか、PHPが分からない人向けの解説とか、本を買えば分かるんじゃないかという内容(地域差はあるかもしれない)。いやさ、それだったら本を買えばいいんじゃないかな。

WordPressの教科書という書名は、個人的にはなかなかの衝撃でした。この本に書かれた内容ができても、WordPressができます!という仕事のとり方はできない、ってことですわな。教科書なんだから。みんなできてあたりまえ。WordPressで仕事ができるって、今後はいったいどういうレベルを言うんだろうか?

WordPressもついに一般教養科目になったのね…

WordPressもついに一般教養科目になったのね…

結局、WordPressを使って提供できる価値ってなんだと思ってみんな参入してきてるのかしら、というのがどうにも謎なのです。なぜって、WordPressの勉強会で、頑張ってWordPressでサイトを作ったけど、お客さんが更新してくれないんですよねえ、という話題まで挙がる(地域差はあるかもしれない)。それって、何のためにWordPress入れたの、っていうか、結局あなたがコンテンツの設計をしてないだけじゃないの?

WordPressを使う際のメリットとして、まじめにまとめちゃった記事もありますが、個人的には、コンテンツの設計に役立つというところを推したいと常々思っています。世界中のありとあらゆるコンテンツが、ポストタイプ、ポストメタ、タクソノミーで運用されているんですよ!クライアントが抱えている茫漠とした、そのままでは価値の分かりにくいコンテンツを、行き当たりばったりにHTML化する前に、この3つに当てはめてごらん。格段にユーザーフレンドリーなサイトになるはずなのだ。

そういう視点を持っている人は選ぶプラグインも違います。制作者の自己満足のようなプラグインは選ばない。コンテンツ管理をよりよくしてくれるものを選ぶ(プロが選ぶ WordPress有料プラグイン辞典に参加してない筆者が言うのもなんですが)。

だから、まずひとつはコンテンツのプロデュースができる人は、WordPressで仕事ができる、と言えるんじゃないかと思う。

あるいは、デザインについてきちんと学び、経験をつみ、デザインで価値を提供できるデザイナーであれば、WordPressは一応なんとかかんとか使えます、というレベルでも全く問題ないと思いますね。なので、そのデザインを実現するためにWordPressを勉強するというのは、素晴らしいことだと思うのです。勉強会はこの層が人数としては多いのかなぁ。でもそこから、私はWordPressのカスタマイズができるんだぜというところを売りにしだしたら、変なことになるのではと思います。確かにWordPressは流行りワードですけど、デザイナーがそこに乗っかりだすのはどうなの、という気もするわけです。ましてや、デザインはいまいちだから付加価値でWordPressができるようになろう、なんて思ってないよね?

文句あんのか!

文句あんのか!

デベロッパー向けの話をしますと、最近のWordPressのアップデートを見ると、どんどんクラスベースのAPIに整備されていっていますね。WP_Theme, WP_Screen, WP_Post, WP_Meta_Query…クエリ文字列をテンプレートタグに渡すのがカスタマイズだった時代からずいぶん変わりました。Elvinからはキー・バリュー式のイベントバインディングを持つModel層を提供するWebアプリケーション用途のJavascriptライブラリ「Backbone.js」も導入されましたね(言ってて筆者もよく分かってないんですが、これ便利なんすかね?)。

これらはWordPressが、デベロッパー・フレンドリーなAPIを志向する方向を向いていることを示していると思います。世界中でWordPressがCMS用途として使われ、たくさんのプロたちがビジネスで使っていることを考えれば、当然の方向といえるかもしれません。でも、そこに今から参入するのって、技術的にも、経験量的にも、そこそこ大変だよねってことは知っておいて損はないと思うのだけど。

もしデベロッパーとしてWordPressを勉強するなら、ちまたの本はあまりあてにならないので、ソースコードをがっつり読むという勉強方法になると思う。それはそれで、プログラマーにとっては楽しいんだけど。

見せてもらおうか!WordPressのソースコードとやらを!

見せてもらおうか!WordPressのソースコードとやらを!

WordPressはブログという位置づけを完全に脱却し、よりデベロッパーにフォーカスした、CMSとしての完成系を目指していくのでしょうか?世界を席巻するパブリッシングツールの巨人はどこへゆくのか。筆者はそこには重大な生き残りのヒントがあるような気もして、浮気もしながら必死でしがみついております。明日が見えないWPD-Blueのために、コメントをお寄せください m(_ _)m

WordPressのイイところイマイチなところをまとめて、じゃあそんなWordPressをどうやって活用していくのか?というシリーズ記事にするつもりだったんですが、だいぶ方向性がぶれてしまいました。WordPressネタはこの辺で打ち止めにしようかと思います。方向性がぶれた結果、なんかネカマさんと内容がかぶった気もするけど気にしない!そんじゃーね!