先日ブルーさんの記事でしょっぱなから「はよ GPL 基本編の次書かんかい」とお叱りを受けました、ベージュです。\(^o^)/ お待たせしました、それでは今回【テーマ編】いってみます!
多種多様な WordPress ユーザーさんがテーマの GPL ライセンスについて知りたい点は異なっていると思います。そこで、いくつか違った視点からそれぞれの立場の人が「理解しておくべきこと」を挙げてみることにしました。
受託開発に関わる人
当ブログの読者にはおそらく一番多いと思うのですが、WordPress テーマの開発を発注・受注する方たちにおすすめなのは、漢(オトコ)のコンピュータ道: 受託開発とGPL という記事。コメント欄も含め、実に細かいところまで詳しく説明してあります。
「GPL が適用されるのは頒布時」(テーマを頒布しない場合、GPL ライセンスになるわけではない)や、「料金について」(受託制作したテーマを提供することに対し、料金を徴収することができる)、「著作権について」(GPL が適用されたソフトウェアの著作権は、そのソフトウェアを書いた個人・法人が有する)など、現場で疑問が発生しがちなシチュエーションに対する答えが詰まっています。
配布用テーマ開発者
WordPress.org 公式テーマディレクトリと、それ以外の場合では必須となるライセンスの適用方法が少し異なります。
WordPress.org 公式テーマディレクトリでテーマを公開したい場合
公式テーマディレクトリでは、「テーマも GPL ライセンス」というコミュニティのポリシーに基づいて、100% GPL ライセンスのテーマのみを配布するための無料ホスティングを提供しています。この場合、画像や CSS/JavaScript ファイルまですべて GPL ライセンスにする必要があります。フォント、アイコンや外部ライブラリのコードなどを含めたい場合、元のデータも GPL ライセンスとして配布できるものかどうか確認が必要です。
公式テーマディレクトリ掲載時のライセンス表記ルールなどは、Codex の「テーマレビュー」ページに記載されています。GPL ライセンスとともに使えるフォントやアイコンセットに関する情報もあります。
自分のサイトやその他のテーマ・マーケットプレースでテーマを公開したい場合
この場合、厳密には画像、CSS/JavaScript といった WordPress テーマ PHP ファイル以外のデータを非 GPL ライセンスで配布することは法的には可能です(これについても上記の「テーマも GPL ライセンス」という記事を参照してください)。ただし、100% GPL 以外のライセンスでテーマを配布することは WordPress.org コミュニティルールには沿わないものであるため、例えば公式ディレクトリ内の商用 WordPress テーマページヘの掲載や、WordCamp への講演者・運営者・スポンサーとしての参加はできなくなってしまうことに注意が必要です(例: WordPress ファウンデーションによる講演者に対するルール)。
ちなみに先日「5分で分かる WordCamp/ThemeForest GPL 論争の流れ」という記事でお伝えしたテーマ・マーケットプレース「ThemeForest」は、テーマ配布者からのフィードバックを受けて100% GPL ライセンスの採用も可能にする方向とのことです(英語ブログ記事)。【2016年6月16日追記】ThemeForest を含む Envato Marketplace では現在、100% GPL ライセンスを選択することも可能になっています。詳しくは同サイトのスプリットライセンスと 100% GPL ライセンスについての FAQ ページをご覧ください。
GPL ライセンスについてのテーマ公開者の心配事は?というアンケートををまとめたスライドも公開されており、興味深いです。
配布テーマのユーザー
テーマをダウンロードすると同時にこのライセンスの保障する自由(実行、動作の研究・改造、再配布、改変版の配布)を享受できます。「いかなる目的に対しても、プログラムを実行する自由」がありますので、このテーマ(の、GPL ライセンスが適用される部分)をどのように使っても構いません。
上記「受託開発に関わる人」のセクションにもある通り「GPL が適用されるのは頒布時」ですので、もし再配布・改変版の配布を行う際には「配布用テーマ開発者」の部分を理解するようにしましょう。
まとめ
テーマに関するライセンスの疑問点が少しでもすっきりしたでしょうか?ややこしいと思えるかもしれませんが、ソフトウェアを利用・開発する上でライセンスについて理解することは必要不可欠です。GPL については WordPress コミュニティで解釈などについての情報が比較的多数ありますし、質問すれば答えたり一緒に考えたりしてくれる人もいますので、身近な WordPress テーマというものをきっかけに正しい理解を深めていくことができるはずです。
ちなみに上記の情報は、WordPress テーマだけではなくプラグインにもほぼ同様に適用されると考えてよいでしょう。
著者情報
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