WordPress を使うなら知っておきたい GPL ライセンスの知識【基本編】

2012.11.07 | 覚えておきたい
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はじめまして、ベージュです。ババシャツ色って呼ばないでくださいね!

さて、このサイトを読んでいる皆さんは、WordPress がオープンソースのソフトであることはよく知っていると思います。でも、その意味を単に「だれでも無料でダウンロードできる」ことだと思っていませんか? 「WordPress のライセンスについてクライアントさんに詳しく突っ込まれるとよく分からないし、間違っちゃうと怖いし…」と思っていませんか?

そこで、今回は GPL ライセンスのことを正しく理解して、自信を持って説明できるようになれる情報をご紹介します。さらに、WordPress がなぜ GPL を採用しているのかを知ることで、このソフトウェアを作る人たちの理念まで分かるというおまけつき。

WordPress はなぜ GPL ライセンス?

まずはぜひ、この字幕付き動画をご覧ください(下の画像をクリックすると動画再生ページヘ飛びます)。

Matt Mullenweg: WordPress and the GPL

Matt Mullenweg: WordPress and the GPL(動画へのリンク

WordPress は誕生した時からフリーソフトウェア財団によって公開・維持されている GPL というライセンスを採用しています。なぜそうなったかというと、WordPress の前身でありフォーク【】元となった b2 というブログツールがこのライセンスを採用していたため、GPL 以外には選択肢がなかったから。そう、それだけの理由です。動画で話しているプロジェクトの共同創始者マット・マレンウェッグも「WordPress が GPL なのは、僕がそれをよく理解する前から決まっていたことだ」と語っています。そしてこのできごとはその後 WordPress を通して同じライセンスで公開されているコードが広まっていく過程で何度となく繰り返されていることでもあります。

「WordPress は、GPL だったにもかかわらず(despite of)広まったのではなく、そうだったからこそ(because of)広まったんだ」とマットはよく話しています。既存のものをベースにした開発がブラックホールに吸い込まれることなく共有されることでさらに良いイノベーションが派生する、というサイクルを保っていることが WordPress 普及の大きな要因となっています。

GPL 基礎の基礎

GPL(GNU 一般公衆利用許諾契約書)バージョン2の日本語訳には、以下のような文があります(太字は筆者)。

ソフトウェア向けライセンスの大半は、あなたがそのソフトウェアを共有したり変更したりする自由を奪うように設計されています。対照的に、GNU 一般公衆利用許諾契約書は、あなたがフリーソフトウェアを共有したり変更したりする自由を保証する ー すなわち、ソフトウェアがそのユーザすべてにとってフリーであることを保証することを目的としています。

GPL はコピーライトの逆、コピーレフト利用者全体が自由にそのソフトを使えるように保証するためのライセンスであることを、まず理解しましょう。「全体」というところ、「自由を保証する」ということがポイント。より多くの人に、プログラムを自由に使ってもらうことが WordPress の目的であり哲学なのです。

GPL ライセンスは、利用者に以下の4つの自由を保証します(引用元: 自由ソフトウェアとは? – フリーソフトウェアファウンデーション)。

  1. いかなる目的に対しても、プログラムを実行する自由
  2. プログラムがどのように動作しているか研究し、必要に応じて改造する自由
  3. 身近な人を助けられるよう、コピーを再配布する自由
  4. 改変した版を他に配布する自由

ちなみによく誤解されているのですが、WordPress をベースに開発したプラグインやテーマを必ず公開・配布しなければいけないということはありません。もし配布することにした場合のライセンスは、GPL 互換ライセンスを選択する義務があるというのが正しい解釈です。クライアントから「WordPress を使ってサイトを作ってもらったら、そのソースコードを GPL ライセンスで必ず公開しなければいけないの?」と聞かれた場合、その答えは NO ということになります(関連: GPLは、改変されたバージョンのソースコードを公に発表することを要求しますか?)。

「でも、このライセンスは好きじゃない」

それでも派生物を公開・頒布する際に GPL を適用したくないということであれば、このライセンスではないソフトウェアを使うこと、が解決方法になるでしょう (・∀・) 。WordPress のライセンスは気に入ったら適用すればいいものというわけではなく、法的拘束力のあるルールです。例えば音楽ファイルやデスクトップソフトウェアのデータを違法に共有してはいけないのが当たり前なように、プロとして守るべき当然の条件だということを意識しておきましょう。

このライセンスを尊重することは、私たちが慣れ親しんで便利に使っているこのソフトウェアがイノベーションを最大限に活用して進化し、生き残るためにとても重要なことでもあります。わからないことがあれば、WordPress.org フォーラムや勉強会などでどんどん質問してみてください。

参考になる資料など

今回の「WordPress を使うなら知っておきたい GPL の知識」は、さらに【テーマ編】【よくある質問編】に続けていきたいと思います。質問もお待ちしてますよ!

注:「フォーク」とは「あるソフトウェア開発プロジェクトから分岐して、別のプロジェクトができること(引用元: Wikipedia)」を意味するソフトウェア開発用語です。スパゲッティ食べるときに使うアレ、ではないんですが、語源は一緒なんですよ!