支払サイト&入金サイトについて考える。

2012.10.15 | 制作あるある
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どうもどうも、こんにちは。WP-Limeです。
Limeって黄緑色らしいです。色決めの時に、Facebookを見ていなかったら、空いている色が無くなっていて黄緑色になってしまったということで、今日から座右の銘を「人間万事塞翁が馬」にして、良い事が起こることを期待しちゃっている派です。

さて、持ち回りで月に1回書いている、このブログですが、
1回目の記事は、
案件の価格決めをどうしているのよ?
2回目の記事は、
IT勉強会を自分で主催するメリット・デメリットと、それらを有料or無料で開く判断。
でした。

今回の記事は、
支払サイト&入金サイトについて考える。
です。

ここで言う「サイト」とは、Webサイトのことではありません。支払いや入金までの「期間」のことを「サイト」と言います。
例えば、月末締めで翌月末支払いの場合は、約30日後に現金の支払いということになりますから、「30日サイト」という言い方をします。

実は、私WP-Limeは、前職が税理士法人でサラリーマンとして税務や会計や監査の仕事をしていまして、以前は「サイト」と言うと、支払サイトや入金サイトの方がピンと来ました。今は縁あってIT関係の株式会社を設立してその代表者をしていますのでWebサイトの方がピンとは来ます。
ちなみに、「ドメイン」と言うと、いわゆるURLのことをイメージしますが、税理士法人にいた頃は会話の中で「ドメイン」とは「事業ドメイン(=その企業が展開する事業領域のこと)」のことを指すこともありましたし、所属している業界によって同じキーワードでも意味合いが変わってくるので、興味深いなと思いました。

さて、支払サイト&入金サイトの話ですが、
支払サイトは、仕事を完成納品してもらってから、現金を支払うまでの期間、
入金サイトは、仕事を完成納品してから、現金の入金があるまでの期間、
ですから、とても重要です。

多くの商取引の場合、仕事を完成納品したら、その場で即お金がやり取りされるわけでありません。
その場で、現金で商取引をすることで、いわゆる現金割引(=すぐに支払うことで値引きすること)の交渉ができるくらいですから、やはり一般的ではないわけです。安売りするために商品仕入を現金即決にしている様子をたまにテレビなどで見ることがありますが、あれは現金割引の交渉をしていることとなります。
個人がお店で物を買ったり飲み食いをすると、その場で現金がやり取りされますから、そのイメージがある人も多いかもしれませんが、多くの商取引では、仕事が終わってから現金のやり取りがされるまでの間には期間があって、その期間のことを「サイト」と言います。

つまり、多くの商取引の場合、以下の様な流れとなります。

Aさん:見積りを依頼する。
(複数人に見積りを依頼して比較する場合もあります。このことを「相見積り」と言います。略して「アイミツ」とも言います。)
   ↓
Bさん:見積書をAさんに提出する。
   ↓
Aさん:Aさんがその条件でOKを出したら取引開始。
(この時、取引によっては契約書が交わされるでしょう。また、取引期間が長い場合、Bさんとしては、発注書や注文書を取っておくと、後々、仕事を発注した・しないでトラブルすることが減るので、Bさん側から発注書や注文書の雛形をAさんに渡して書いてもらってBさんが受け取ってから正式に取引開始とした方が、お互いにとって書面のやり取りがあって良いでしょう。Aさんがそれが出来ないと言う場合にはこのAさん、仕事の途中で難癖を付けたりお金を払わずに逃げたりする可能性もあるので、Bさん判断として始めの時点で取引をしないということも有り得ます。)
   ↓
Bさん:仕事が完成する。
   ↓
Bさん:請求書をAさんに提出する。この時に請求書に振込期日を書いておくことが多いでしょう。
(請求書やお金の振込は、契約形態や金額の多寡によって、仕事の完成前に前金をもらったり等もあると思いますので、その辺りは相対取引ですので、双方のやり取り次第となりますが、多くの場合は仕事が完成した後に請求書を発行することが多いでしょう。)
   ↓
Aさん:振込期日までにBさんにお金を振り込む。

以上のような流れとなります。

会計上の処理としては、
Aさんとしては、
<仕事完了時>
(借方)仕入(売上原価など) 500,000円  (貸方)買掛金 500,000円
<現金支払時>
(借方)買掛金 500,000円  (貸方)現金預金 500,000円
Bさんとしては、
<仕事完了時>
(借方)売掛金 500,000円  (貸方)売上 500,000円
<現金入金時>
(借方)現金預金 500,000円  (貸方)売掛金 500,000円
となるでしょう。

ここまで見て、お分かりだと思いますが、実際に仕事の途中から入金まで時間があるわけです。その間、仕事をしてもお金は入ってこないわけですから、いわゆる売上はあるけど入金は無いという状態になります。
これにより、お金(=「キャッシュ・フロー」とも言います)が無くなって、売上も立っていて会計上の利益も立っているのにお金が回らなくなって倒産するという、いわゆる「黒字倒産」をする企業も、たまにあるくらいです。

従って、いかに現金の回収までの期間を短くするか、また、そもそも現金の回収を完璧なものにする(いわゆる入金されずに逃げられる「貸し倒れ」のケースを無くす)のかが、企業の経営側やフリーランスの人など、お金回りを意識する人にとっては、重要となってきます。

では、この支払サイトと入金サイト、仕事が完成納品してから、実際にお金のやり取りがあるまで、どれくらいの期間があるでしょうか。
まず、前提として、これは双方の同意に基づく相対取引(=市場を介さずに売買の当事者同士で決める取引)ですので、双方が納得していれば、仕事の前にお金のやり取りがあろうが、後にお金のやり取りがあろうが、途中で何回かに分けてお金のやり取りがあろうが、極端な話、数年後にお金のやり取りがあろうが、構わないわけです。

そのようなやり取りは、大きい金額の取引ですと、契約書があるでしょうし、契約書が無い場合でも、発注書や注文書の備考欄に一文あると良いでしょう。
ここで、最低限、メール文章でも残っていれば証憑(=事実を証明する根拠)として良いということもありますが、やはり日本の商慣習としては契約書や発注書や注文書のように書面として紙としてあると良いかもしれません。書いてもらったものをFAXやPDFにして電子データの形で送ってもらうということでも大丈夫かもしれません。

ただ、日本においては、WPD-Orangeが書いた、
売掛金回収!少額訴訟してみたよ。
にもある通り、実際に不払いや金銭トラブルがあった時の回収方法が、誤解を恐れずに言いますと、形骸化していて回収の保証が確実ではありませんから、やはり一番良いのは、WPD-Orangeも書いている通りで、「怪しいと思ったら手を引く」ということでしょうか。

そして、支払サイト&入金サイトの期間ですが、

例えば、中小規模の請負案件の場合は、私WP-Limeの経験では、「月末締め翌月末払い」が多いように思います。
すなわち、9月中に完成納品して請求書を渡した取引の入金は10月末にある、ということです。

また、例えば、大企業や官公庁の請負案件の場合は、私WP-Limeの経験では、この支払サイト&入金サイトの期間は長いように思います。数ヶ月後に入金があるとか、そういう場合もあると思います。これは理由はよく分からないのですが、大企業や官公庁は潰れる可能性が低いから、その部分が保証となって、支払&入金のやり取りまでの期間が長くなっているのかもしれません。もちろん、相対取引ですので、金額規模の大きい場合には、始めに半金を振り込んでもらうとか、途中で何回かに分けて振り込んでもらうとか、そういうことも交渉の余地はあるでしょう。実際、私はそのように交渉して成立したことがあります。

さらに、例えば、書籍の執筆の場合は、私WP-Limeの経験では、こちらも支払サイト&入金サイトは長く、本が出版されたり増刷が掛かってから数ヶ月後となります。一方で、雑誌への寄稿の場合は、その期間は短く、月末締め翌月末払いが多いように思います。

以上は、依頼仕事による相対取引ですので、双方が納得をすれば支払サイト&入金サイトに交渉の余地があるので、双方の状況や力関係によって、上手く交渉ができると良いかもしれません。
一般的には、サイト(期間)が短いほど、お金の回収リスクが減るので仕事を請けて入金される方には良いでしょう。サイト(期間)が長いと、その間に相手の企業が倒産して回収ができなくなったり、そこまで行かなくても状況が変わって先方に資金が無くて払われないという、いわゆる「貸倒リスク」は高まると言われています。
とは言え、じゃあ、すぐに払え、と言うのも、一般的な経理の流れからすると、企業が組織化されている場合には会計処理としては難しいわけですし、そこを強く交渉すると、あれ?この人お金に困っているのかな?と意図せずとも変に勘ぐられてしまうこともあるでしょう。

この辺りは、自分の状況に応じた肌感覚かと思いますが、相手の経費処理の流れにまずは応じてみて、あまりに長い支払サイト&入金サイトの場合は短くする交渉をしたり、数百万円など金額が大きい取引の場合は数回に分けて仕事の途中でも振り込んでもらう交渉をしたり、こういうことを、取引が始まる前に、予めしておいて、書面に落とし込んでおくと良いかと思っています。

また、私WP-Limeが税理士法人に勤めていた時に見てきた中では、「ウチは今月末が決算日なので」ということで、税務的な関係で、支払サイト&入金サイトを伸ばしたり短めにしたり、言い方としては仕事の納期の調整となるかもしれませんが、そういう仕事を依頼するタイミングの調整は中小企業では行われている企業もある印象はあります。

ここまで、主に請負案件での話ですが、そもそも支払サイト&入金サイトがだいたい決まっている場合もあります。

例えば、アフィリエイトによる収入の場合は、私WP-Limeの経験では、月末締め翌々月15日払いが一般的です。ですから、アフィリエイトの一般的な支払サイトは45日となるでしょう。例えば、リンクシェアさんは月末締め翌々月20日払いなので支払サイトが50日とか、DMMアフィリエイトさんは月末締め翌月10日払いなので支払サイトが10日と超短かったり、例外もあります。

また、例えば、GoogleAdSenseや、アプリ販売などは、私WP-Limeの経験では、月末締め翌月下旬払い(月末ではなく下旬のいずれかの日に振り込まれます。海外取引だからか、日にちは決まっていないように思います。)となります。

これらは、それぞれの仲介をしている企業が、定型的に取り決めている規定に基いて、支払サイト&入金サイトが決まっているように思いますから、上記の相対取引とは異なり、交渉の余地は無いように思います。

以上のように、仕事が完結したら、すぐにお金の入と出があるわけではなく、お金の入と出には、一定のサイト(期間)があります。
企業の経営側やフリーランスの人などは、このような現金が自分の所にどれだけあるか(=キャッシュ・フロー)、お金回りを意識しているかと思います。

支払サイト&入金サイトは、上記のようにマチマチですから、それらの期間を意識しつつ、日々を過ごすと良いのではないかと考えています。
私WP-Limeの個人的な考えとしては、収入源が複数あると、支払サイト&入金サイトも自然とバラけますし、収入源を一箇所に頼らないので状況や力関係としての交渉もしやすくなるから良いのかなぁとも思いまして、日々活動しています。

以上となります。
4800文字を超える記事を読んでいただいて、ありがとうございました!
ではでは、また1か月後くらいに持ち回りで当番が回ってくるようなので、その日まで!
またお会いしましょうー。