案件の価格決めをどうしているのよ?

2012.08.07 | 制作あるある
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どうもどうも、こんにちは。WP-Limeです。
Limeって黄緑色らしいです。色決めの時に、Facebookを見ていなかったら、空いている色が無くなっていて黄緑色になってしまったということで、ディレクションできない派です。

さてさて、このWebサイト「WP-D」に初投稿のLimeの今日の記事は、案件の依頼があった際に、価格決めについて、皆どうしているの?とりあえずLimeはこうしていますよ、ということを記事にしてみます。

制作だの納品だの言っても、依頼が無いと始まらない議論ですしね。

どこかの偉い人は、「請負案件において、価格と納期が決まっていない仕事は、仕事ではない。」と言っていました。その通りだと思います。

請負案件での価格決め

1.予算が提示されていないパターン
知り合いからの紹介や、インターネット上の問い合わせフォームから、案件が来ることがありますよね。
そういう時に明確な予算感が決まっている場合もありますが、そもそもよく分からないから専門家に頼むということも考えられるので、予算が明示されていない場合もあると思います。

そういう時でも、だいたいの予算としてどれくらいの枠があるのか、または、どれくらいの予算を考えているのか、予め聞いてみましょう。
あと、実現したいことや、だいたいのイメージ(ワイヤーフレームみたいな感じ)や、こういうURLのサイトみたいのがあればそれとか、だいたいのことを聞きましょう。定型的なヒアリングシートを予め用意している会社も多いと思います。ヒアリングシートの雛形をインターネット上に公開している人もいますから、検索などして参考にしてみるとイメージが沸くかもしれないですね。

その上で、あまりに掛け離れていた場合には、初めの時点でお断りするのも、良いかと思います。なぜなら、コミュニケーションコスト(やり取りに掛かる工数)も掛かるので自分側にもデメリットになりますし、先方も初めからダメだと分かればそれ以上のことは言わないからです。ただ、断る際にも、今回は縁が無くて弊社では作業ができないかもだけど、こういうツールを使ったりこういう本を読んだりで実現できるかもしれないですよ、とか、代替案を提示して終わりにすると、次にその人に何かあった時にまた縁が繋がるかもしれません。

その上で、だいたい予算感として合いそうなら、次は、だいたいの工数を割り出して、1人月いくら(または1日いくら)みたいのを、自分自身や会社規定として決めていると思うので、それに応じて、単価✕日数で、見積価格を割り出す、というのが一般的のようです。
1日作業あたり5万円くらいの単価が、いわゆる以前は一般的だったようです。こういう工数計算からの積み上げ型で算出する場合には、今もあんまり変わらないかもしれないですね。1日4万円と設定している人もいれば、逆に6万円に設定する人もいれば、もっと高かったり低かったり、色々かもしれません。
とは言え、そもそも、同じ結果を出すのに、その実装方法を知っていたり経験豊富な人だったりすると5分で終わる作業を、経験の少ない人だと1日掛かったりしますよね。特にプログラムの場合は。
ここで賢い人は、あれ?そんな画一的な単価に日数を掛けたら、能力が低い方が報酬が高くならない?と気付くわけで、たまに凄いフリーランスの人に依頼したらメチャメチャ安くて、あれ?って思うのは、そういうことです。(逆に、仕事が欲しくて計算無く低く受けてしまうだけのフリーランスの人も中にはいるようです。その点においては、フリーランスの人への発注の場合には、その人のスキルを見極めた上で価格を確かめる必要があるのかもしれないですね。)その辺りの自分の知識や経験や能力を、どう算出するのかは難しい問題ですが、まあ、一般的には、上記のような工数計算からの積み上げ型な感じでの相場のような印象です。

なお、だいたいの予算としてどれくらいの枠があるのか、または、どれくらいの予算を考えているのか、予め、始めに聞いた時に、まったく答えられない人とか、そもそも予算が無いのですが、という前置きをする人も、ごくまれに、います。
どこかの偉い人が、「請負案件において、価格と納期が決まっていない仕事は、仕事ではない。」と言っているように、価格と納期の無い仕事は仕事ではありませんので、まったく答えられない人は、その人との関係においてボランティアでも付き合えれば付き合って、仕事ベースの関係においては、まずは見積書として出しておいて、一旦忘れて、またその予算で声が掛かって来た時に対応しましょう。仕事ベースとして、待っていたら、ちゃんと予算を確保して声が掛かるというケースもあります。
また、そもそも予算が無いのですが、と言う人は、その先方の人が、自分には予算を確保する権限や能力が無いことを自己申告しているか、そもそも仕事ベースではなく仕事としては頼んでいないということですから、それを前提に対応した方が良いでしょう。そもそも予算が無く、かつ、その上での代替案も提示できない人となると、仕事として関わって、上手くいった体験を見聞きしたことがありません。もちろん、今は予算が無いけど、こういう代替的なメリットがあるとか、その人との関係などで、自分の責任において関わるのは、良いと思います。ただ、一般的には、そういう場合には、あまりにも価格が掛け離れていた場合に該当すると思いますので、前述の通りで、初めの時点でお断りすることになるケースだと思います。

2.予算が提示されているパターン
知り合いからの紹介や、インターネット上の問い合わせフォームから来る案件でも、予算感が明記されていたり、代理店や営業会社から、予め、○○万円くらいの予算があるのですが、この作業が出来ますか?という問い合わせがあるパターンも多いと思います。

そういう場合には、デザインや要件定義や実装する機能などを聞いて、それが予算に合うかを、自分で弾き出します。その際の弾き出す計算は、人によって様々かもですが、例えば、純粋に工数に見合うかとか、この案件は引き受けておいた方が後々良いとか、まあ、色々でしょう。

その上で納得をすれば引き受ける流れになると思います。
もし、引き受けたいけど、これは予算が合わない(予算以上の時間が掛かりそう)という時は、機能面などで、その機能が本当に必要か、ひとまず聞いてみても良いかもしれないです。依頼側としては、とりあえずこういうことが出来たらいいな、というザックリしたイメージだけで、その機能を必須としていない場合もあるかもしれないですしね。その機能の実装には○○万円掛かるけど、これが無ければ予算内で出来る、みたいな話をしたら、通ることも多いと思います。
その上でそれでも予算感が合わなかったり、そもそも初めの提示予算が掛け離れすぎてて話にならない場合には、上のパターンと同じで、早い段階で断りましょう。変に期待させないのもマナーかと。ただ、断る際にも、今回は縁が無くて弊社では作業ができないかもだけど、こういうツールを使ったりこういう本を読んだりで実現できるかもしれないですよ、とか、代替案を提示して終わりにすると、次にその人に何かあった時にまた縁が繋がるかもしれません。

あと、こういう予算が提示されているパターンでの注意点として、何か見つかっていない工数があるかも、という点です。その分の予算や納期なども、頭の片隅に入れておく必要があります。その分の余力となる予算も確保していないと、実際に引き受けた後に、制作者が不平等感を持ってしまうかもしれないです。案件は完成してナンボなわけですから、完成まで持っていくことが重要なわけで、予算が足りなくなったとか、おいおいこの作業聞いてないぜー予算にも入れてない!とかになるのは、この部分の予測を入れていないからとも言えます。この予測は意外に重要です。気持ち良く案件を完成させるためにも初めの時点で予測して見積価格を決めておきましょう。もちろん、その予測は見積の内訳に明記するわけではなくて、想定した上で金額に含めておく、という意味です。

まとめ

つまり、こういうことです。
依頼がある
  ↓
(ⅰ)
予算が明示されていないパターン
ヒアリングして、工数を計算、予算を提示。 → 先方が納得すれば引き受けるし、先方が納得しなければ引き受けない

(ⅱ)
予算が明示されているパターン
(1)予算が合う → 引き受ける
(2)予算が足りなそう → 工数を説明して、要件定義で、仕様を絞る → 先方が納得すれば引き受けるし、先方が納得しなければ引き受けない
(3)予算が掛け離れすぎている → 引き受けない

キレたら終わり

あと1つ、重要なことがあります。それは、キレたら終わり、ということです。
そう、キレたら終わりなんですよ。
キレる、というのは、
怒ったら、という意味でもありますし、
攻撃的になったら、という意味でもありますし、
縁が切れたら、という意味でもあります。

例えば、価格で、とんでもなく低い金額を提示する人もいるかもしれません。でも、その人は悪気が無くて、ただ相場観を知らないだけかもしれません。また、大規模案件のディレクターで、とんでもなく工数の掛かることを低額で要求してくるかもしれません。でも、その人は悪気が無くて、ただデザイン経験やプログラム経験が無くて工数の感覚が無かったり、先方との調整ができないディレクション能力が純粋に低いだけのディレクターなのかもしれません。
悪気がある人は、そもそも関わりません。好きの反対は嫌いではなく無関心です。関わっている以上、悪気は無いはずなので、そこは上手く誘導するのも、ディレクションという意味ではスキルなのかもしれないです。

なお、ここでいう、キレない、というのは、理不尽なことを受け入れる、という意味ではありません。そうではなくて、そもそもキレなくて済む方向に持っていくことも、一つのスキルなのでは?と考えているということです。

どんなに技術力があっても、キレる人には、次の依頼や仕事は来ないと思いますので、勿体無いなぁと思います。色々と見聞きしてきたLimeの個人的な印象としては、ごくたまに、そういう人がいる気がします。技術力が十分なのに、その点の実力が足りていないので、人が笑顔で離れていくというのは、とても勿体無い印象です。社内の上司やよほど仲の良い友人や家族などで無い限り、普通の人は指摘をしないで笑顔で離れていくと思いますので、キレるというのは、なかなかにして辞めた方が良いと思います。

フリーランスや数人規模の会社の場合、そういう点も大切なのかなぁと、Limeの個人的な意見としては思います。

そもそも案件の価格決めをしないモデル

ここまで書いておいてアレなのですが、そもそも、「案件の価格交渉をしない」というビジネスモデルも、世の中には存在します。

例えば、Webサイトツールを製品化(パッケージ化)したりする方法が、該当するでしょう。このWebサイトはWordPressで作られていますが、WordPressのテーマ販売なども、それに該当しますよね。また、このサンプルサイトを導入するのは○○万円でその価格以外ではやりません、という提示方法も、該当すると思います。

偉い人は、この方法のことを、「マクドナルドのような」という感じで例えています。マクドナルドのハンバーガーを買うのに、価格交渉から始める人はいないですよね。既に価格が決まっているわけです。その価格に納得する人は、ハンバーガーを買いますし、納得しない人はそもそもお店に行かないでしょう。

さらに、「案件を請け負わない」というビジネスモデルも、世の中には存在します。

例えば、AndroidアプリやiPhoneアプリを販売したり、自分でWebサイト運営をして広告収益を得たり、そういう方法です。

そもそも、請負案件をこなす、ということは、複数の会社や人からの依頼をこなせるわけですから、100のスキルレベルの案件があった時に、実力が100では必ずスキル不足となります。100のスキルレベルの案件をこなすには、150くらいの実力が必要でしょう。200以上あると、ほとんどスキル面で迷うこと無く、気持ち良くこなせる気がします。
従って、請負案件がこなせる人は、自分のWebサイトやアプリを作って運営する、自分のサービスを作る、ということも出来るでしょう。なぜなら、自分のWebサイトやアプリとして作るという限りにおいては、スキルレベルが100あれば100のモノが出来るからです。それが事業として成り立つことも多いでしょうし、仮に成り立たなかったとしても、その自分運営のWebサイトやアプリが、ポートフォリオ(自分の代表的な作品)となって、それが縁で依頼が来るかもしれません。

最後に

以上は、IT関係で起業して4年半くらいが経ったLimeの自分自身の経験です。ですので、もしかしたら、汎用的な考え方では無いかもしれません。もし、おいおい、それは違うぜー!みたいなのがあれば、ぜひコメントや問い合わせなどをいただければ、自分自身の考え方を柔軟に変えられるキッカケとなって嬉しいです。お待ちしています。

あと、具体的な金額としては、
Limeは、請負案件においては、現在は、WordPressの案件しか引き受けないようにしているので、WordPressに限った話となりますが、現在のWordPress構築関係の請負案件の個人的な相場観としては、
Limeの経験での一番低いところでは、既存のWordPressテーマのカスタマイズとかサーバー移転とかだと1案件10万円くらいの予算で、
Limeの経験での一番高いところでは、一部上場企業や大手企業のWordPressでの構築案件とかだと1案件400万円くらいの予算で、やったことがある感じです。
一般的な案件の予算感では、以前は30万円~50万円くらいの予算感の案件が多かったですが、最近は50万円~100万円くらいの予算感の案件が、Limeは多いですかねぇ。予算単価が上がっている気がします。
また、最近は、普通の企業サイト構築やブログ構築だけでなく、なんか変わったWordPress案件が多いです。まあ、最近はWordPressは、ECサイトも作れますし、CRM的なこともできますし、メールマガジンシステムとしても使えますし、フォトギャラリーサイトや、マガジンサイトなども、もちろん作れますしね。
あと、保守運用まで取れる案件だと、責任も継続しますが、継続収入にもなります。

ただ、ここまで書いておいてアレなのですが、Limeは、メインの収益が、自分のサイト運営による広告収益なので、請負案件はあんまり力を入れていないです。

案件の価格決めの話から離れてしまいましたが、WordPressを始め、オープンソースを使って、色々なビジネスをしている人がいます。オープンソースは、そういう点では、オープンソースのコミュニティに関わって、実際に人と会って話すだけでも、ビジネス的な勉強になるように思います。誰がどのくらいの仕事量をどれくらいの予算感で受けているとか、会って話さないとなかなか出てこない情報だったりもすると思いますしね。
そのような人達と話すという点では、IT勉強会やイベントに参加することを、個人的にはオススメしておきます。今の自分の仕事とは離れたところの意見も聞けるので、ぶっちゃけ話も出ると思います。そういう話は懇親会や懇親会後の二次会での方が多く聞けるでしょう。

このWebサイト「WP-D」も、WordPressの勉強会やイベントで知り合った仲の良い人達で、持ち回りで記事を書いていますしね。今回色々と書きましたが、案件の価格や相場観は、意外にデリケートな話だったりもしますし、そういうタイプの情報は、こういうブログ記事などのインターネット上よりは、リアルな場の方が相場観や対応方法が分かったりするのではないかというオチを付けまして、「案件の価格決めをどうしているのよ?」というお話を終わりにしたいと思います。

6600文字を超える、文字だけの記事を読んでいただいて、ありがとうございました!
ではでは、また1か月後くらいに持ち回りで当番が回ってくるようなので、その日まで!
またお会いしましょうー。