「WordPress マネージドサーバー」って何?海外・国内事情のまとめ

2013.06.12 | 玄人向け |
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WordPress の人気が高まるにつれレンタルサーバー側でも WordPress 対応に力を入れるようになってきていて、低価格帯の共用サーバーでも WordPress がワンクリックインストールできるのは当然、といった扱いになりつつあります。最近では、さらにハイレベルな要求に応える「WordPress マネージドサーバー」という切り口のサービスを提供しているところもだんだん増えてきました。

「WordPress マネージドサーバー」とは

WordPress 特化型のプロダクトに限らず、「マネージドサーバー」というのは基本的に専用権を持つサーバーのハードウェア・ソフトウェア・管理をパッケージにしてレンタルするという形式のレンタルサーバーです。いわゆる「専用サーバー」のひとつのカテゴリで、「セルフマネージドサーバー」とは違いホスティング会社が管理を行なってくれます。

Photo credit: Tom Raftery

注意したいのは、「WordPress マネージドサーバー」というプロダクトにはそれぞれ特徴があり、値段や一部のスペックだけで比較できるものではないという点。WordPress 向けの環境を用意しているので好きに使っていいよ、というものから、自動アップグレードやバックアップでメンテナンスを楽にしてくれたり、コードレビューを含めたエンタープライズサポートが含まれているものまで幅広い選択肢があります。

例えば、「Web サイト制作が専門ではないけれど、ブログを書いているうちにトラフィックがものすごく増えて共用サーバーでは運営が厳しくなった」という人や、「クライアントに安心してもらえる高速で堅牢な環境がとにかく欲しい」という人にとっての最適解は異なりますが、各サービスの特徴を理解してニーズにぴったり合ったものを選ぶことでハッピーになれるはずです。以下の情報が、リサーチの参考になれば幸いです!(価格や仕様はすべて執筆時のものです)

国内の WordPress マネージドサーバー

まだ数は少ないものの、徐々に増えてきた国内の WordPress 専用マネージドサーバー。海外のものに比較すると、バックアップの自動化などといったプラスαの利便性よりもハイスペックなサーバーサイドの技術・機能を強調している傾向のようです。以下、各公式サイトからピックアップした説明文です。

網元マネージドホスティングプラン

網元マネージド・ホスティング

価格: 月額3,000円〜90,000円までの5プラン
デジタルキューブが Amazon EC2 + WordPress に最適化した高速 AMI「網元」を使って提供するサービス。ハイパフォーマンス、サーバー監視、自動バックアップ、セキュリティ対策、専用コントロールパネルなどが特徴。さらに高度なスケーリングについてもカスタムサポートで対応。デモサイトはこちら

wpX レンタルサーバー

wpX レンタルサーバー
価格: 月額1,050円(容量100GB)〜
エックスサーバーが提供する WordPress 専用のレンタルサーバー。WordPress を高速化する独自のシステム、最新の高性能ハードウェア、自動バックアップ、複数インストール可能。

wpX クラウド

wpX クラウドサーバー
価格: 月額525円(容量10GB)〜52,500円(容量250GB)
上記 wpX レンタルサーバーの機能に加え、サイトの規模やアクセス状況などに合わせて7段階の拡張が可能なクラウド型サービス。

PHP Ninja

PHPNinja
価格: 月額目安9,374円〜39,765円までの3プラン(定額の時間課金制)
ファーストサーバが WordPress 高速化チューニング、Nginx、Z Cloud の組合せを用いて提供するクラウドサービス。サーバー運用・管理、WebDAV 接続、Github 連携などが標準で利用可能。突発的な大量アクセスがあった場合は追加料金なしで CPU バースト対応機能を利用できる。

海外の WordPress マネージドサーバー

海外の WordPress マネージドサーバーの選択肢は非常に豊富ですが、データセンターの所在地が海外のみであったり、サポートの言語が限られている場合もあるため、その点も含めて検討が必要です。

WPEngine

WP Engine価格: 月額$9.96〜$29(1サイトあたり)
Git デプロイ、ステージング環境など技術者向けの機能とスピードに重点を置く。一日一度自動で保存されるバックアップにワンクリックでロールバックできたり、自動でセキュリティパッチを当ててくれたりもする。UK、US、アジアのデータセンターから選択可能で、CDN オプションは10サイト$99のプランより。

BlogDroid

Blogdroid価格: 月額$20〜25(1サイトあたり)
自動の日毎バックアップ、メールホスティング、無料マイグレーション、エキスパートサポート。月間$5追加で SSL・固定 IP 対応可能。容量1.5GB、帯域30GB(月間)、3万 PV(一日あたり)の制限ありだが、追加料金で上限を変更可能。

Page.ly

pagely-logo価格: 月額$24〜$149
自動コア・プラグインアップグレード、日毎バックアップ(14日間保存)、Varnish キャッシングなどが標準装備。CDN、VPS、マルチサイト、DB 直アクセスなどは上位プランのみ。1ユーザーアカウント$5で FTP アクセスを追加できる。

DreamPress

DreamPress価格: 月額$24.95
Dreamhost の提供する WordPress 専用 VPS サーバー。同社の共用サーバーの上位プランとして位置づけられており、アップグレード追加での移行が可能。自動マイグレーション機能、Varnish キャッシング、自社サービス DreamObjects パブリッククラウドへのバックアップなどが含まれる。97日間の無料試用期間がある。

ZippyKid

Zippykid価格: 月額$25
バックエンドは Rackspace。CDN、コア&プラグインアップグレード、バックアップ、Firewall、マルウェアスキャニングなどが含まれる。使用料の料金体系は帯域幅・保存領域とは関係なくページビューベース。月$10で固定 IP にできる。

Synthesis

Synthesis価格: 月額$27〜300
月間250万以上のビジターが訪れるブログメディア運営を続けてきた Copyblogger Media が、自分たちのノウハウをベースに始めたホスティングサービス。セキュリティ向上のため、自社開発の Genesis テーマフレームワークを使うことを薦めている。最も安いプランは一日2,500 PV まで。毎晩新しく作成するバックアップは7日間保存される。

WordPress.com VIP

WordPress.com VIP ホスティング価格: 月額$3,750〜(5サイトまで同価格。追加サイトは$500)
合計で月間40億以上の PV を支える WordPress.com のインフラを活用した、Automattic のエンタープライズ向けサービス。マルチサイトの1サイトとして扱われ、コアおよびプリ・インストールプラグインは完全自動でアップグレードされる。CDN、1時間毎バックアップ、新規導入プラグインやテーマのコードレビューを始めとするサポートが含まれる。

その他

上記ほどメジャーではないのですが、他にも WPWebhostWebsiteHallLightning BaseKahuna Host などもあるそうです。これらについての概要は「9 Leading Options for Managed WordPress Hosting」という記事に書かれています。

WordPress マネージドサーバーを選ぶ際のチェックポイント

これだけさまざまな WordPress マネージドサーバーがありますが、使うシチュエーションによって必要なものを選ぶことが何よりも大事です。「じゃ、どれが一番いいの?」というあやふやな質問への答えを見つけようとするのではなくて、案件をしっかり理解して以下のような点をチェックしていきましょう。

  • 課金条件(帯域幅、保存領域、ページビューなど)を含めた1サイトあたりのランニングコストを知る
  • メンテナンスの簡単さと拡張性のバランスを見極める
  • マルチサイト、固定 IP、スピードなどの面で要件を満たしているか確認する
  • デプロイプロセス・ステージング環境などがワークフローに合っているか確認する
  • アップグレード、バックアップなど、メンテナンスをどこまでマネージドサーバーに任せるかを定義する
  • 無料お試し期間があれば使ってみる

WordPress ホスティングは競争が激しいためか、進化も早いです。ここに挙げた情報は変更になる可能性がありますので、参考程度に読んでいただければと思います。詳しくは、それぞれの公式サイトで最新情報をどうぞ!

【2013年6月27日追記】この記事を執筆してまだ間もないですが、BlogDroid が Page.ly に買収されたとのこと。WordPressマネージドホスティング業界もまだまだどんどん変わっていきそうですね。